ヨーロッパの旅23 オランダでA先生のマスタークラス。
昨日の夜に練習を終え、いよいよ今日からマスタークラスです。
今回は友人のツテで先生を探してもらい、5日間で3人の先生に教わることに。
A先生には1時間×4回のレッスン。
B先生には1時間×2回のレッスン。
C先生には1時間×2回のレッスン。
今日はA先生について。
A先生はオランダ人。オランダではすごく有名な40代の女性の先生で、先生の名前はオランダ中に知れ渡っているような方です。ご主人も有名なチェリスト。
■音階、アルペジオなどの基礎練習について言われたこと。
・音程を良くするために、次の準備をしっかりしてから弾くということが大事。
・頭の中ではしっかりと考えて、体はリラックス。
・リラックスする練習として、肘を上げるときに指を少し浮かせて重力を生かしてポジション移動をする。
・ポジション移動のときは動物を撫でるイメージで。腕で移動するように。肘の動きは円を描いて、重力の重みで下がるように。ゆっくりの速さで練習する。
・オランダの偉大なチェリスト、アンナー・ビルスマーが言っていたのは、移動する1つ前の音を強めに押さえる。そうすると離す感覚がよく分かるようになる。
・移動のときに軽くグリッサンドをして、あえて金属音を鳴らすように。フラジオのような状態で移動することによって、移動する技術や音程の正確さの練習になる。
■曲について言われたこと。(今回はチェロ協奏曲)
・オーケストラと弾く曲なので、最初の出だしはフォルテのイメージで。堂々と。
・長い音のときに弓を節約。先端のときに音が弱くなってしまっている。音が上がるときは強くなどのように方向性をはっきりさせてほしい。
・16分音符にアクセントを。A線が小さくなりやすいのでもっと大きい音量で。
・自分で歌う練習をしっかりする。そうすると自然に聴かせたい音がわかる。
・健康的で濃密な音を出す。
みたいなレッスンでした。
基本的なことをしっかりと教えて下さいました。
いつも習っている先生にも同じことを言われているけど、環境が変わるとなぜかすぐに言うことを聞く。いつもの先生の話もちゃんと聞こうよ、ねぇ。
曲についてのレッスンのときに
A先生
「ここのフレーズはどんなイメージを持っているの?」
子供
「えっと…おじさんが怒っているイメージです。」
!!!!!!!!!
おじさん来たーーーーーー!!!!!
人生はいいことも悪いことも含め、すべてがその人にとって必要な経験だと言いますが、
まさかのおじさん経験がここで活きた!
ロンドンの地下鉄での『何かめぐんでくれ』おじさん。
ロンドンの道中で会った『プンスカしながらちゃっかり目的地には向かう』おじさん。
コペンハーゲンの中華料理屋さんで会った『ピッッッッッッツア!!!』おじさん。
すべては必要な経験だったんですね。
まさかのイメージに先生も大爆笑。
子供って面白いわぁ。
あと何度も言われたのは方向性を持って音を出すということ。
下手したら座って1秒ぐらいで何も考えずに音を出すこともあるので、ちゃんと肝に銘じてほしい。
ロバートの忍者ショーのコントじゃないんだからさ。のれんくぐったら、すぐに忍者ショーじゃないのよ。
これからは座ってしっかり考えてから音を出してください。
以前、小学校の『まち探検』でお手伝いのために付き添ったことがあるのですが、もちろん基本的には口は出さず『見守ってください』スタンスで。
子供って、
・地図(楽譜)をちゃんと見ない
・目的地と逆の方向にいつも進んでしまう(あまりにも遠く離れそうだったのでさすがに声かけた)
・そもそも『まち探検』を社会の授業じゃなくて特別なお出かけだと思ってる
・水筒を飛び道具にする…
などなど。
そんな感じです。
ちゃんと考えよう。準備しよう。
A先生のレッスン中に昨年亡くなったオランダの偉大なチェリスト、アンナー・ビルスマの名前が出てきて興奮しました。
いいレッスンでした。
夜に海外からいつもの先生とお話。
主人と先生が会う機会があり、ちょうどお部屋にいた時間だったので、子供と先生が話すことに。
子供
「えっ?先生と話すの?わかった。」
そして向こうで主人と先生が代わる。
先生
「Hi! How are you ?」
子供
「えっ?えっ?あ、ア、アイムファイン」
先生、電話の向こうで大爆笑。
先生
「元気ですか?ちゃんと練習してる?」
子供
「はい。マスタークラスも楽しいです。」
先生
「そう。楽しんでね!」
子供
「はい。」
みたいなやり取り。
まさか英語で切り込んでくるとは思いませんでした。先生やっぱり面白い。
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