2020年2月7日 チェロと仲良くなるコンサート(アジア・パシフィック・チェロ・コングレス2020 初日)

先日開催されたチェロコングレス2020に行ってきました。

アジア・パシフィック・チェロ・コングレス2020

チェロ・コングレスは日本チェロ協会が主催するイベントで今回はなんと9年ぶり。今回のコングレスでは日本に留まらず、アジア太平洋地域から有名チェリストを招いての開催です。

チェロ協会は毎年2月に『チェロの日』と称して大きなイベントをしているのですが、今年はそれの特大の特別版。

まず初日にサントリーホールのブルーローズにて行われた『チェロと仲良くなるコンサート』。

プログラムは、

■北村 陽
・G.リゲティ︰無伴奏チェロソナタ

■上森 祥平、野田 清隆(ピアノ)
・福富 秀夫︰花織幻想、
・H.ヴィエニャフスキ︰スケルツォ・タランテラ 作品16

■田中 雅弘、篠崎 友美(ビオラ)、鈴木 大介(ギター)
・N.パガニーニ︰セレナード ハ長調より

■荒 庸子、レイチョウ・チャン(ヴァイオリン)、ジョアンナ・シンルー・ティン(ピアノ)
・F.リスト︰トリスティア(ピアノ三重奏曲)

15分休憩をはさんで

■宮田 大
・黛 敏郎︰文楽
・尾高 惇忠︰独奏チェロのための「瞑想」

■イ・カンホ、練木 繁夫(ピアノ)
・E.グリーグ︰チェロソナタ 作品36 第2、3楽章

■向山 佳絵子、水谷 上総(ファゴット)
・W.A.モーツァルト︰ファゴットとチェロのためのソナタ 変ロ長調 K.292

■堤 剛
酒井 健治
・レミニサンス︰ポリモノフォニー チェロのための

です。

このプログラム、何が凄かったかって

「衝撃的すぎて、2週間たった今でも頭が混乱している」んです。

トップバッターの北村くんはめちゃくちゃ難しい曲を弾いてたし、

上森さんは琉球民謡をモチーフにした曲を弾いて(作曲者の福富 秀夫さんが来場されていました)ほっこりゾーンかと思いきや、ヴァイオリンの超絶技巧曲、ヴィエニャフスキのスケルツォ・タランテラをチェロ用に変調せずに、原曲通りのト短調で演奏するし(終盤のハイポジの細かい動きの連続がえげつなかった)、

この時点で

「もうダメ。すごすぎるよ、今日のこのプログラム。序盤でメラミとヒャダルコくらった気分だ…。」

と心が折れそうになったときに、

田中 雅弘さん、篠崎 友美さん(ビオラ)、鈴木 大介(ギター)さんが舞台袖からにこやかに登場。田中さんと篠崎さんのニコニコ楽しそうな演奏に、鈴木大介さんの美しいギターの音色。

去年のチェロの日で水谷川優子さんと鈴木大介さんが共演されて『ケルト・スピリッツ』という曲を披露されていたのですが、その演奏に感動して以来、鈴木大介さんの大ファンなんです。

草津のマスタークラスに行ったときに「あの人見たことあるけど誰だったか…」。あとでその方が鈴木大介さんと気づきました。なんでそのときに気づかなかったのか悔しすぎる…。

今日も鈴木さんのギターの音色に癒やされる。またチェロとヴィオラとギターのトリオってすごい素敵。角がなくて、それぞれの音色が馴染んで素晴らしい。

以前、タモリさんがテレビで、

「お刺身に合うのは醤油だとみんな思ってるけど、それだとけっこう強いんだよね。ダシ汁の方がお刺し身本来の良さがわかるよね。」

まさにそんな感じ。ヴァイオリンとチェロとピアノのトリオもいいけど、この演奏でチェロとヴィオラとギターのトリオが大好きになりました。

序盤、メラミとヒャダルコでピンチだったのがベホイミをかけられた気分。

次は荒 庸子さん、レイチョウ・チャン(ヴァイオリン)さん、ジョアンナ・シンルー・ティン(ピアノ)さんのトリオ。

出てきた瞬間に「さっき廊下ですれ違った人達だ!」って気づきました。それがこのイベントのすごいところ。

休憩を挟んで、宮田大さん。

知り合いのチェロっ子お母さまが

「さっき外でチェロ担いでマスクしてる人がいたけど、あれば絶対に宮田大さん!目ヂカラでわかる!会釈したらちゃんと会釈を返してくれたし、あの人柄の良さは絶対に宮田さん!」

って言ってました。

宮田さんも相変わらずめちゃくちゃ上手い。メラゾーマとマヒャドの連続ですよ。ほんとすごい。

そして韓国からイ・カンホさん、ピアノは練木 繁夫さん。イ・カンホさんもさることながら、練木さんのピアノの音色がまた素晴らしい。

次いで向山 佳絵子さん、水谷 上総(ファゴット)さんの演奏。ファゴットの水谷さんはN響の首席奏者で、Eテレのクラシック音楽館に出演されてるのをよくおみかけするのですが、実物はテレビで見るよりもシュッとしててカッコよかったです。

モーツァルトはチェロの曲をあまり残しておらず、現存するモーツァルトのチェロのための曲は、この曲がほぼ唯一だそう。

その昔、パトロンに

「二重奏の曲をちょっとつくってみてよ。よろしく。3ヶ月後のサロンで披露してよ。」

と依頼されたモーツァルト。

でもなかなか手を付けられず、期限ギリギリで、

「あっ!こないだ依頼された二重奏の曲そろそろ書かないとな~…。」

『ヴァイオリン』『フルート』『ヴィオラ』『オーボエ』などなど楽器の名前を適当に紙に書いてワシャワシャかき混ぜて、オリャーっとバラまいて、ソーレっとテーブルからジャンプして

右足の下にあった紙に書かれてたのが『チェロ』、

左足の下にあった紙に書かれてたのが『ファゴット』。

それが元になり、できた曲です。

嘘です。

私の勝手な妄想です。

私の中のモーツァルトって↑こんなイメージです(映画アマデウスから受けた印象)。

初めてこの曲を聴いたのですが、チェロとファゴットの音色ってめちゃくちゃ合うんですね。知らなかった。やっぱりモーツァルト天才。また水谷さんのファゴットの音色に癒やされる。

よし!ファゴットの音色でベホマをかけられた気分!もう完全に回復したぞ!

次は最後、堤先生だ!さぁ来い!

堤先生、現代曲を弾かれたのですがそれほど攻撃力が高い感じもせず。

プログラムを見ると「バッハの無伴奏チェロ組曲第5番のサラバンドがモチーフになっている」だそうで。

なるほどなるほど。5番のサラバンドのね、なるほど。(←どの曲かよくわかってないけど、わかったフリ)。

チュイーン、ベンベンベン。

チュイーン、ベンベンベン。

チュイーン、テケテン。

チュウイィ~~ン

↑カタカナにするとこんな曲でした。

全然伝わらないと思います。私もどう伝えていいのかわかりません。

「えっ?何この曲?なんなのこの曲?」

なんて思ってたら、

チュウイィ~~ン…。

曲が終了。

もしこの曲が芸大・音大の新曲視唱や聴音で出てきたら

「なんだこれは…」

と震えが止まらなくなり、浪人覚悟して終了だわ…。

そしてドッとダメージ(疲れ)が…。優しい攻撃だと思ってたら毒が含まれてて、いつの間にかHPがジワジワ削り取られ、画面は瀕死の赤色。

「みんな攻めすぎだよ…。タイトルなんだっけ?“チェロと仲良くなるコンサート”だよね?私、仲良くなれたかなぁ…。むしろギターとファゴットが素敵ってなってしまったよ…。」

“チェロと仲良くなる日”と思ってウキウキしながらやって来たので、コマンドに“ぼうぎょ”なんてないのよ。

もうだめ。早く宿屋に帰って回復したい…。寝る前にお酒を飲まないときっと眠れない。

そんな感じのコンサートでした。

とりあえずこの衝撃的なプログラムを組んだ人に会って話を聞いてみたい。

これがまだ初日。今思うと、あのコンサートは幻だったのかもしれない…。

明日に続きます。

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