2019年9月7日放送 バレエの王子になる! 世界最高峰・ロシア・バレエ学校の青春

BS1スペシャルで、ロシアの名門バレエ学校のドキュメンタリーが放送されていました。普通、バレエのドキュメンタリーといえば、女の子に密着するものが多いのですが、今回はロシアの名門のバレエ学校で、しかも男子生徒。校長の言葉はチェロの練習や演奏にもとても通じるものがありました。

ロシアのバレエといえば、白鳥の湖、眠れる森の美女、くるみ割り人形。数え切れないほどの名作ばかり。

舞台はプロを目指しているバレエダンサーが集まる世界最高峰のロシアの最古のバレエ学校、1738年に創立された国立ワガノワ・バレエ・アカデミー。

10~18歳の子ども達が世界中から集まります。

ワガノワ・バレエ学校は子供の発育状況に合わせて、細かいカリキュラムを組み、小さい頃はきっちりと基礎を丁寧に。上半身をとても大事にしていて、小さい子は指先まで意識が行かないので、ボールペンを持たせてレッスンを受けていました。

入学後も毎年進級試験があり、女子中学生でも体重超過で退学。ホルモンバランスや成長でどうしても体重が増えやすい時期ですが、その管理もプロを目指すなら当たり前。昔『昴』という曽田正人さん作のバレエ漫画で「身体的条件は、親ばかりか、祖母の代までさかのぼってチェックされる」と読んだことがありますが、本当なんですね。すごい。

私、中学生の時なんて、めちゃくちゃ食べてましたよ。朝から白飯2杯とかね。あの時期の食欲って本当に恐ろしい。朝食べて、10:30の中休みにパン食べて、お昼にお弁当食べて、授業終わったらお菓子食べて、家に帰って夕食食べて、食べても食べてもお腹が空くんですよね。この時期の体重管理は本当に大変だと思います。

今回の放送では、最上級クラスの男子生徒に密着。

プロのダンサーになるための国家試験や、バレエ団のオーディションなどをくぐり抜けなければなりません。

ワガノワ・バレエ・アカデミー現校長であるニコライ・ツィスカリーゼ先生の厳しくも温かい指導がとても印象に残りました。ニコライ先生はロシアの名門ボリショイバレエ団で長年プリンシパルを勤め上げた人です。この先生の指導を受けられるのは一握りの選ばれた生徒だけ。言葉の一つ一つに重みがとてもありました。

ニコライ校長
「観客に見せるのは光り輝く泡。ダンサーはその泡しか見せてはいけない。泡の中には血と汗と涙が浮かぶ。努力、努力、努力。努力せねば踊り続けることは出来ない。」

「このバレエという職業に奇跡は起きない。奇跡は絶対にない!コネもファンタジーも役に立たない。努力しかない!努力しか成功のレシピはない。バレエ界では才能は降ってはこない。」

生徒も5人ほどがピックアップされていましたが、
アメリカ出身で、外見や身体的にとてもすぐれていて、なおかつ努力を惜しまないマイケル・バルキジヤ(ミーシャ)。

イギリス人と日本人のハーフで、祖父が大澤徳城は大学相撲の名力士、第46代横綱の朝潮太郎が叔父という男性ダンサーとして身長は低いけど、そのハンデを努力で乗り越える大澤・ホロウィッツ・有論(アロン)。

ベラルーシ出身で、モデルとしても活躍。高身長で美形だけど、努力がどうしても足りないキリル・ソコロフスキー。

ニコライ校生はキリルのことを
「フォルムはスマートで本当に美しい。ただダンサーとして成長する力がない。いくら体型が良くても、努力家じゃないとこの世界では駄目。」

試験前日に風邪をひいたキリルを医務室まで手を引いて連れて、
「急患だ!明日は国家試験だからすぐに治してほしい。でかい座薬でも、太い注射でも何でもいい。頼む。明日こいつが力強く踊れるように。」

先生、厳しいけど、言葉や行動の端々に優しさを感じます。いいなぁ。すてきな先生。

最終的に全員国家試験には合格しましたが、キリルは努力が足りずにみんなが出演する卒業公演に出させてもらえませんでした。
舞台裏で先生がキリルに「怠け者め!」と言ってました…。

キリルは、一応名門バレエ団のオーディションに合格したのですが、卒業公演に出られなかった悔しい気持ちを「これからは努力する」と心を入れ替えていました。

あと印象的だったのは、教室にグランドピアノがおいてあって、常に生音で練習できる状況であること。以前、ロシアに留学していた方から聞いたのですが、これはロシアでは当たり前のことだそうで、チェロのレッスンも常に伴奏の先生がレッスン室にいて、いつでも合わせられる状態だそうです。課題曲は必ずピアノと合わせないと次に進めないそうです。やっぱり伴奏と合わせてなんぼですから、素晴らしい環境です。いつかロシアに行ってみたい。

音楽ドキュメンタリーとは違った世界でしたが、とても見ごたえのあるドキュメンタリーでした。今度、子供と見よう。

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