2019年10月19日放送 さんまの東大方程式 芸術の秋に東京藝大生が大集合SP!(4)東京藝大生が苦労してる意外なお金事情ランキング。

昨日からの続きです。今日は学費以外にかかるお金についてです。チェロに関してはある程度わかりますが、管楽器のその他もろもろのお金なんて考えたこともなかった。とても勉強になります。

東京藝大生の使ってる楽器の値段は?

「チェンバロという楽器。500万円で買える。」
「家のピアノは1600万円。」
「このヴァイオリンはマンションが買えるぐらい高額です。」

楽器が高価なのは当たり前。予想外の出費など、普通の学生とは全く違うお金事情をその苦労度合いでランキング。

第5位。ヴァイオリンは最高の音色を奏でるため、メンテナンス代が超高額。

ヴァイオリン専攻卒の髙木凛々子さん。実は髙木さん、世界中の一流奏者が集まる2017年バルトーク国際コンクールで第2位を獲得した天才美人ヴァイオリニスト。
そんな彼女が頻繁に通う店に同行。到着したのは住宅街のマンションの一室。ドアにはHADAGEN VIOLINSの文字が。こちらですね→(羽田弦ヴァイオリンズ公式サイト)。

その室内にはヴァイオリンやチェロなど無数の弦楽器が。

髙木さん
「楽器の調整をして、今日は弦を買いたいなと思います。」

実はヴァイオリンで一番お金がかかるのが楽器のメンテナンス代。演奏会が近くなると、1日10時間以上練習するので数日で弦がボロボロに。

それをメンテナンスするべく弦の張替えは1万5000円。さらに先週も、

髙木さん
「メンテナンスに来たんですけど、その時指板を削っていただいて、だいたい1万円弱。来週もまた予約を入れていて、その時は弓の毛替え。それも1万円ちょっとぐらい。」

他にもボディーのニスの塗り替え1回3000円。汚れや歪みがひどい時はヴァイオリンを分解してメンテナンス、これは一回で20万円以上かかることも。年間でかかるメンテナンス代がなんと60万円!

実はヴァイオリンは年代ものが多く、他の楽器と比べてもメンテナンス代が圧倒的にかかるんです。

ここで表が出ていました。メンテナンスにかかる年間平均額は、

1位 ヴァイオリン 60万円
2位 チェロ 15万円
3位 コントラバス 8万円
4位 オーボエ 3万円
5位 フルート 2万円

髙木さん
「実は私の両親二人がプロのヴァイオリニストですごく理解があるので、両親のお世話になっています。」

何と髙木さんのご両親は日本三大オーケストラである読売日本交響楽団のヴァイオリニスト(お父様は髙木敏行さん、お母様は井上雅美さん)。ご家族全員でヴァイオリンを弾いている部屋は、自宅にある350万円の防音室。娘も一流になってほしいと金銭面でも全力でサポートしてくれるそうです。

第4位。オーボエは演奏に絶対必要なリード代にお金がかかる!

オーボエ専攻卒の浅原由香さん。
オーボエは大きな木管楽器。苦労しているお金事情は?

浅原さん
「一番お金がかかるのがリードの部分ですね。この小さいリードに息入れていくんですけど、これは演奏者がひとつひとつ手作業で作っていて、それがすごく大変です。」

なんと演奏に絶対必要なリードは、演奏者自身が全て手作り。しかもこのリード作りめちゃくちゃ大変なんです!

浅原さん
「完成するまでに2週間かかります。オーボエ奏者を練習している時間より、リード作ってる時間のほうが長いっていう風に言われるぐらいすごく時間がかかる。」

実際に作業を見せてもらうと、

浅原さん
「材料は葦でできています。主にフランスから取り寄せてます。100グラムで大体に3000円ぐらい。まずこの葦を3等分にします。もうこの時点でこれなんかダメなんですけど(ちょっと曲がってる)。これはもう捨てます。さようならです。」

使えなくなった葦も含めて、だいたい材料費が年間10万円ほど。さらに材料費だけでなく工具も超高額。

浅原さん
「これはガウジングマシーンです。」

なんとリードを削るための専用の工具が約20万円!さらにこれ以外にも。

浅原さん
「これが厚さと柔らかさを削るためだけの道具です。」

削った後のリードの厚さを測る工具、キャリパーがおよそ4万円。そして最後の作業としてメーキングマシーンという仕上げに先端部分を細かく削る道具が25万円。

およそ20種類の道具が必要で、道具一式の総額はなんと50万円以上!材料費と工具合わせて60万円!これは大変です。

しかも製作は20以上もの工程を経て、2週間もかかるんですが…、

浅原さん
「1回仕上がったリードがベストの状態で使えるのは一回きり。それで使えなくなったら処分。」

サックス奏者はコンクールに出場する時に必要な伴奏者代が大変!

さらに同じ木管楽器のサックスを学ぶ藝大生もお金に苦労していた。
サックス専攻卒、住谷美帆さん。

実は住谷さん、昨年の第9回国際サクソフォンコンクールで女性で初の優勝を果たした天才なんです。

住谷さん
「楽器自体にお金がかかることもあるけど、それ以外にピアノの伴奏者代がかかります。まさに今いらっしゃる伴奏者AKI松本さんを目の前にして言うのもアレですけど…。」

サックス奏者はコンクールに出場する時に必要な伴奏者代が大変。実はサックスのコンクールはピアノの伴奏者が必須。

たとえ海外のコンクールでも伴奏者のギャラや飛行機代、宿泊費は演奏者が自腹で支払うんです。

住谷さん
「前回のコンクールはスロベニアだったんですけど、その時は2週間ぐらい滞在して70万円ぐらい。」

海外コンクールの場合、自分の渡航費と伴奏者の遠征費などで70万円を超えることも。国際大会は出費がかさむので、中には驚きの行動に出る演奏者も。

住谷さん
「大体賞金は20万円なんですね。プラス副賞でサックスがプレゼントをされて、それが何十万円もする高い楽器なので、そちらを楽器屋さんに売ったりして次のコンクールの資金としてサックスを楽器屋さんに売ってしのいでいるのだとか。

さぁ、ベスト3の発表です。
東京藝大生が苦労してる意外なお金事情ランキング。ベスト3の発表です。

第3位。声楽科の学生は舞台に立つための衣装代が大変

声楽科卒しおたんさんと、松原愛実さん。

松原さん
「体が楽器で、喉に全てをかけているので、そこにお金をかけてる人はめちゃくちゃいます。家に加湿器があったり。私は加湿器が買えなかったので、お味噌汁を作ったときの湯気で喉を潤す。」

声楽家の中には一台2万円以上もする加湿器を全ての部屋に置いている学生も。そして一番お金がかかるのは…、

松原さん
「衣装。ドレスにお金をかけてる人が多いと思います。」

ドレスといえば他の演奏者も舞台で着ていますが、声楽家は段違いでお金がかかるという。

松原さん
「特に声楽家は胸板がすごい厚い人が多いので、オーダーメイドで20万円ぐらいかかる。」

確かに声楽家はぽっちゃりした方が多い気がしますが、実はちゃんとした理由があるんです。

松原さん
「腹式呼吸をしていると、肋骨が丸くなる。」

声楽科の学生は腹式呼吸で肋骨が広がり、自然と丸い体型になってしまうんだそうです。

松原さん
「声楽やる前は、細くてかわいかったです。」

しおたん
「私は昔からずっとこのままです。」

ではしおたんは大学の四年間でドレス代にお金をいくらかけたのか?見せてもらうべく山形の実家へ。

しおたん
「ドレスの部屋です。大体20着ぐらい。」

ドレスのサイズは大きいものだとなんと8L。これが全部20万円のオーダーメイドだととんでもない金額ですが…。

しおたん
「国内にはサイズがないから、海外の安いサイトを見つけて、どうにか探し当てて選んだドレスです。」

いつも海外の通販サイトで1着3万円のものを購入しているものの、海外からの輸送費もかかるので20着の総額は何と100万円!

ちなみに6年前に買ったドレスを着てみると、もう入りません。

実はしおたんはドレス代を稼ぐため最近始めた仕事が。それは…、

なんと大食いユーチューバーとして月に数万円稼いでいた。

こちらがその動画ですね↓オープニングが秀逸。他にも歌ってみたり、しおたんさんのマルチな才能が溢れています!

第2位 美術学部の学生は芸大合格のためほぼ全員美術予備校に通ってから藝大に入ってくる。

そうですよね。実は私も美大を出ておますが、高校終えてアトリエ行って、毎日せっせと書いていました。夏休みとか冬休みになると朝から晩まで描きどおし。でも絵を描くことは大好きだったので、そんなに長い時間だと感じませんでした。同じアトリエの友達と先生と休憩時間に公園で焼き芋したり、楽しかったなぁ…。

当時、モジャモジャ頭の中学生でめちゃくちゃ絵の上手な子がいて、その子は東京芸大を目指していましたが、どうしてるのかな?さぁ話を番組に戻しましょう。

第1位 指揮科の学生は楽器を使わないが、楽譜代が超高額!

指揮科の須田陽(すだ みなみ)くん。
「これなんですよ(と言ってキャリーケースを指す)。中身見てもらえばわかると思います。」

指揮科で最もお金がかかるものといえばなんと楽譜!分厚い一冊でたった1曲!気になるお値段は?

須田くん
「大体8000円。高いものだと10万円ぐらいする。」

今は100冊ほど持っていて、現在2年生の須田くんが入学以降かかった楽譜代はなんと100万円以上!

1曲でこんなにも分厚い楽譜が必要なのは指揮科ならではの特別な事情が。

須田くん
「見ると分かるんですけど、その時演奏する楽器が1ページに全部書いてある。指揮者は全部ないと意味がない。普段、全楽器に”ココ!””ココ!””はい!トッティ!”ってやんなきゃいけないので、全ての楽器を把握する必要がある。」

指揮者の楽譜には多いものだと20以上もの楽器の譜面が記されており、例えばラヴェルのボレロだとコントラバスの楽譜は4ページなのに対し、指揮者の楽譜は66ページと16倍以上!そのぶん高額になってしまうという。でも楽譜をデータ化して持ち歩けばいいのでは?

須田くん
「そういう人もいるんですけど、僕はダメなんです。データで楽譜見るのは嫌なんです。楽譜を作った人もそうですし、作曲した人も紙に書いているので、そういう人たちの思いも重さと一緒に入ってると思うんです。重さが感じられなくなってしまうので、紙じゃないと駄目ですね。」

実家が群馬の須田くん。重さ10kgの楽譜を持ち、往復4時間半の通学をしています。

というのが今回の内容。弦楽器はメンテナンス代がかかりますよね…、なんて通ぶったことを言ってみたりして。

ちなみにわが家の分数チェロは年代物でもなんでもない16万円のチェロなので、お世話になっている工房では弦の張替え&メンテナンス(駒や魂柱の調整)合わせて2000円、弓の張替えは4000円ほどです。しかもオリジナルのめちゃくちゃいい松脂もあってそれが500円。安い。ありがたい。いつもありがとうございます。

伴奏者代は分数チェロっ子の親御さんも「うんうん」となったはず。自宅から遠い場所でのコンクールやマスタークラスで公式伴奏ありだと「主催者様ありがとうー!」ってめっちゃ思います。というか”国際”サックスコンクールなのになんで公式伴奏者おらんのや…。

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