2019年4月28日放送。ショパン・時空の旅人たち7 (2018年ショパン国際ピリオド楽器コンクール)『ニ次審査結果発表。ファイナルに残るのは誰?』

さぁいよいよ川口成彦さんの二次審査の演奏が始まります。

曲はパリで脚光を浴びた頃の作品『ポロネーズ第1番嬰ハ短調作品26第1』
力強い音色とダイナミクスの幅が魅力のエラールで奏でます。

次はポーランドの民族的なリズムが入った『マズルカ第14番ト短調作品24第1』
骨太で素朴な音色が特徴のブロードウッドで。

最後は一番の大曲。『ソナタ第2番変ロ短調作品35』
ショパンが最も愛したフォルテピアノ・プレイエルで徹底的に弱音(じゃくおん)にこだわった演奏。

なんとか50分の舞台をやり終えた川口さん。最後は3台のピアノに敬意を表しました。
ステージングが素敵。私も演奏後に伴奏者に敬意を表す演奏者の方が大好きです。伴奏者あっての演奏者ですからね。

聴衆からも素晴らしい拍手。

「ソナタの第2楽章の繰り返しのあと、飛ばしちゃったかもしれない。でも、やりたいことやった。頭ぼーっとしてる。すごい没頭してました。演奏会としてはいいけど、コンクールとしてはちょっとよくわかんないです。いろいろ突っ込みどころ満載。」

笑いながらも、すごく充実した表情が川口さんの演奏の出来を物語っています。

地元ポーランドの若きスター、クシシュトフさん。演奏者の力量があらわになる『ポロネーズ第5番嬰ヘ短調 作品44』をはじめ、全ての曲をエラール1台のピアノで弾き上げ、独自の世界へ観客を誘います。

カーテンコールを受けて帰ってきたクシシュトフさん。しかしその表情に緩みはありません。本番を終えて、水を飲みます。


今回の挑戦でファイナルに進み、3年前の雪辱を果たしたいクリントンさん。
勝負曲は『マズルカ第19番ロ短調 作品30』
使用する楽器はプレイエル。演奏の途中、普段は感情を表に出さない彼女が笑みを浮かべました。

クリントンさん「ピアノとコミュニケーションを取れた気がします。すべてが思い通りではないけれど、逆にそれが興味深い何かを開いてくれた。ずっとあるがままの自分になりたいと思っていた。誰かと話す時、自分をさらけ出すことありません。そうしたくても傷つきたくないから、バリアを張ってきた。でもこの舞台ではオープンで自分を開くことができて嬉しいです。」


実力者たちがしのぎを削る二次審査。

川口さん「やっぱまた次の欲が出てきて、ファイナル行きたくなりました。昨日はもうあれで満足。僕はもうこれでやりきった。」

川口さんには、他のライバルたちのようにクラシックのピアノの英才教育を受けてこなかった自分の経歴に複雑な思いがありました。

「音楽っていうのは学歴は全然関係ないです。だけど小さい頃からピアノすごいやってきた人というのは、その曲を仕上げる技術がある。ミスがないとか、両手が完璧に揃ってるとか、目を見張るものがある。そこはやっぱひるんじゃって。それプラス音楽があると、やっぱりすごいものが生まれるんですよ。今回のコンテスタはみんなそういう人たちだと思うので。テクニックもあるし、音楽も豊かで。」

ディレクター
「嫉妬したりしないんですか?」

「嫉妬はしないけど、自分の将来について考えちゃうかな。つまり自分にまだ未熟な点がいっぱいある。ありながらも演奏家として、自分はやってっていい人間なのだろうかって思います。」


そして結果発表の時。15名のうち最終審査のファイナルに進めるのはわずか6名。合格者は一次審査と同じくアルファベット順に読み上げられます。


川口さん、クシシュトフさん、無事通過。

でもクリントンさんは呼ばれず。

クリントンさんに注目してきた著名な評論家が言います。
「審査員の決断は理解しがたいよ。」

「でも私にはどうすることもできない。ロンドンに帰ります。ずっといるつもりでしたがそれは叶わなくなりました。ただ帰って一息ついて、他の事の準備です。」

弾き慣れたモダンピアノの挑戦から、自分の演奏が一つ深まったと感じていたクリントンさん。だからこそ3年前とは違う悔しさがこみ上げます。

「すぐにでも帰りたい。ごめんなさい。もうここにはいたくない。」

涙が止まりません。


さぁ次はいよいよ最終審査です。優勝するのは誰なのか!

それではまた明日。

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