2019年3月23日鑑賞 東京春祭 for Kids こどものためのワーグナー『さまよえるオランダ人』

行ってきました。初声楽の舞台。

こどものためのワーグナーの名の通り、小学生からですが子供も一緒に入場できます。

「子どものためのワーグナー」

『さまよえるオランダ人』はフルでやると2時間30分ぐらいありますが、子供向けに編集してあって、休憩なしの1時間ほど。

会場はこんな感じ。場所が丸の内にある三井住友銀行・東館。

さまよえるオランダ人 舞台普通の劇場とは違い、中央にメインステージがあり、左側に港。

さまよえるオランダ人 オーケストラピット右側にオーケストラピットという配置。

しかもこの舞台。なんとワーグナーの曾孫であるカタリーナ・ワーグナーさんが監修・演出・芸術監督を担当。このお方、2015年からバイロイト音楽祭総監督をされています。ご本人は音響ミキサーの隣にいらっしゃいました。

さて、この『さまよえるオランダ人』話をまとめると、

嵐から避難してたノルウェー船に、オランダ人の乗った幽霊船があらわれます。オランダ人は船長に話しかけ「お前の娘と結婚させてくれるなら、おれの宝物をすべてあげる」と言う。なぜならオランダ人は過去に悪魔の怒りをかってしまい、「7年に一度上陸できるが、乙女の愛を受けなければいけない」という呪いにかけられていたのです。もし乙女から愛を受けなければ「死ぬことも許されずに永遠に海をさまよわなければならぬ」というもの。その話を聞き、船長はオランダ人に「わかった。娘に会わせる」という約束をするが…。

というもの。そう。『乙女』じゃないとだめなんですって。私みたいなおばはんは、もはや資格が無いんですよ。ヨーロッパのどっかの地方のぶどう酒をつくるためにぶどうを踏む資格もないし、『君の名は』で口噛み酒をつくる資格もないんです。だって乙女じゃないからね。

でもさ、考えてごらんなさいな。もしお見合いの身上書に「当方、悪魔から呪いを受けて早○○年。ずっと幽霊船で海をさまよっています…。この呪いを解くには乙女の愛が必要なのです…。お宝はいっぱいあります…。乙女の愛がほしいたい…。ヒロシです。ヒロシです。ヒロシです…。」って書いてあったら引くよねー。

そんなさ、どこの奴かもわからない現役でガンガン海をさまよってる男なのに『乙女の愛を必要』とするなんて、かなりの身の程知らずじゃんか!
この非常識!そんな奴に「バッカモーン!娘はやらん!」と言いたいとこけど、宝物いっぱい持ってるっぽいし、ここはグッとこらえるわ。

ちなみに声楽の言葉はドイツ語。普通のセリフは日本語。そこはね、大人の経験で「きっと○○○○みたいな気持ち」を表現してるのかとか想像しながらいけるだろ!余裕!余裕!と思ってたら、私ドイツ語は「グーテンターク(こんちゃーっす)」と「マドンナB(ベー)← 国語の教科書《命ということ》で習ったぞ!あたたかい!あたたかいわ!のやつ。ビーじゃないよベーだからね!」しか知らんのである。そんな私ですが、なんとかドイツ語補完しながら頑張りました。

だって演者である声楽家さんの迫力がすごいのよ。惹き込まれる。みんな素敵なのよ。普通の舞台と違うので、距離も近いし。演技と声の圧がすごくて、それだけでもうすでに満足ですよ。

船長とオランダ人の場面は終わり、お母さんらしき人(実際はお世話をしてくれるおばさん)と船長の娘が揉めてます。なぜか。なぜなら船長の娘は『言い伝えられているさまよえるオランダ人に憧れている』から!なんと!幽霊船に乗ったさまよえるオランダ人に憧れる乙女。そんな稀有な存在がいるんですよ。しかもその稀有な存在がオランダ人に声をかけた船長の娘!これを運命と言わずして何と言おうか。おばさんは「そんなわけのわからん男に夢中になってないで現実を見なさい!」的な立ち位置。私もおばさんの意見に賛成1票です。世の中はフィクションじゃない、ノンフィクションなんです。

そして娘には思いを寄せてくれている青年がいるんです。しかもその男。勝手に「お前は俺の女で確定だかんな」的な感じで、婚約者ぶってるんです。めんどいわ。うっとしいわ。

そんなこんなで船長が例のオランダ人を連れて家に帰ってきます。

すると何ということでしょう!オランダ人と娘は出会った瞬間、恋に落ちてしまうのです!

オランダ人 → 乙女の愛が必要!呪いを解きたい!しかもめちゃんこカワイイやんけ!

娘 → 言い伝えられている憧れのオランダ人が目の前に!しかも長年さまよってきたせいか、独特の悲壮感を醸し出していて、何だか守ってあげたい!

イエス!フォーリンラブ!状態なのです。


でもそこへ例の婚約者ヅラした男がやってきます。娘と男が二人で揉めだしたので、オランダ人は一時退席します。

すると、

婚約者ヅラ男が「おまえ俺の女じゃなかったのかよ!」的なことを言う。

娘「ちがう、ちがうのよ。そんなに怒らないで私の話を聞いて!」

婚約者ヅラ男「結婚も約束したじゃないか!」」

それを部屋の外で聞いていたオランダ人、「結婚の約束…だと?そ…ん…な…」

(ちなみに全部ドイツ語で歌っているので、完全に私の想像ですよ)


このときの演者さんの表情がすごく鬼気迫るものがあって、

子供に「ちょっとちょっと山場だよ!」って肩をツンツンしたら、

子供もさまよっていました。夢の中を。わからんよねー。午前中に『ドラえもん のび太の月面探査記』見て疲れてるし、セリフ以外ドイツ語だし、男女の酸いも甘いも知らん年頃です。男女の愛情のイメージ補完なんてできないのです。

さまよえるわが子はほっといて、
乙女からの愛を受けられない、このままだと呪いは解けないと悟ったオランダ人は悲しみに暮れたたまま幽霊船に戻ろうとします。

でも娘が港まで追いかけてきて、オランダ人に自らの純愛を岩の上から叫び、貞節を証明するために海に身を投じる。娘の純愛を得た幽霊船は呪いを解かれ死を得て沈没する。そしてオランダ人とゼンタは浄化され昇天していくのである(ここだけwikipediaから引用しました)。

ですよ。

オペラって基本的に勘違いや思い込み、謎の行動力で事件が起きるんですな。

『さまよえるオランダ人』もめんどい婚約者ヅラ男が「新しく好きな人(オトコ)ができたんだね。僕は君のことを応援するよ」って物分かりの良い男ならこんなことにはならんのです。オランダ人も人の会話をこっそり盗み聞きなんてしなければ「かわいい乙女と結婚できちゃった♡」で終わるんです。

それでもあっという間の1時間でした。子どものためのとは銘打ってあったけど、歌はドイツ語&ラブストーリーだとちょっと子どもには難しかったかな。例えばプロジェクターで日本語字幕を表示するとか?そうすれば私もドイツ語補完計画をしなくて済んだのかなと思います。

主役のオランダ人を演じた友清崇さん(バリトン)は、幽霊船のオランダ人感が出ていて、その陰気な存在感を演じられていて凄かったです。

ノルウェー船の船長役である斉木健詞さん(バス)は、めっちゃイケメン!そして圧倒的な存在感!

娘役の田崎尚美さん(ソプラノ)は、なんせ声の迫力がすごくて、乙女感もちゃんと出ていて素敵でした。

婚約者ヅラ男の高橋淳さん(テノール)も見事にめんどくさそうな男を演じていて、終演後の爽やかな笑顔のギャップにやられました。

チェロなど楽器と違い、生の声はまたすごい迫力があって、めちゃくちゃ楽しかったです。

しかも!
終演後には子ども限定でしたが、演者の皆さんとの記念撮影ができました!みなさんすてきな雰囲気で、それだけでも気持ちがホクホク。子どもに成りすまししたかったけど、もはや無理。乙女ですらなれないんだから。そしてワーグナーの曾孫さんとも記念撮影させてもらいました。

子供向けに時間を短くしてあるのもいいし、気楽な気持ちで声楽を観たい私にとってはすごく良かった。来年もこの企画があればぜひ来たいです。
次は必ず午前に映画の予定を入れずに、舞台のみにします。めんご。

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