藤原真理さん著の『チェロ、こころの旋律』を読みました。

先日、藤原真理さんの『チェロ、こころの旋律』が届いたので読みました。

藤原真理さん、チェロ、こころの旋律
表紙の写真の藤原真理さんが美しい。


ページを開けてまず最初の見出しが

「音楽教育の成否は、親の面倒見にかかっている」

ですよ。


その見出しにグッと掴まれました。


文章の中に

「初歩の段階では親の面倒見にかかっていて、才能があるかどうかを見極めるために、特にチェロは親側に気の遠くなるような忍耐が要求される。」


本当にその通りで、チェロってまず楽器自体が大きく、小さい子がとても扱いにくいし、右手も弓ってけっこう子供にとって重いので最初はニギニギと力を入れてしまいがちだし、左手は左手で押さえる場所の目安もないので、霧というか闇夜の中を歩く感じなんですよね。

しかも子供って動きは機敏なので、右手や左手が荒くて変な音が鳴っていてもあまり気にしない。

そこで親はじっくりと横について、

「ガサガサしたり押し付けたりするような音じゃなくて、力を抜いて重さを乗せて音を響かせよう。右手ばかりに集中しないで左手の音程と指の形も気をつけて。ほらまた右手に力が入ってるよ。」みたいな右手左手また右手のエンドレスリピートが続くんですよね。まぁ地獄。


幸い、わが子の先生は教え方がとても上手で、最初は弓を持たせず、ピチカートで左手の練習をし、ある程度音程が取れるようになってから、右手に弓を持たせる方法でした。それでも小さい子に力を抜いて重さを乗せるということが難しくて、それなりに安定して弓を持つまでは2~3ヶ月かかった気がします。まだまだ力が入る時があるので先は長い…。


他には齋藤秀雄先生の門下では『下見制度』というものがあり、人を教えることが自分の勉強につながるということで、誰かを教えたり教えられたりしていたそうです。

藤原さんが大阪から上京してすぐに先生として紹介されたのが、なんとあまり年齢の変わらない岩崎洸さん。教える側の岩崎さんが器用に弾けてしまう&自動的に指が動いてしまうタイプだったので、指は弱く筋力もなく不器用なタイプのご自身は大変だったそうです。


本文には真理さんがチャイコフスキー国際コンクールで第2位を取ったときの栗田晃穂さんのルポなどが掲載されていたり、真理さん自身の文章も簡潔でサラッとしていてササーッと読めました。


おすすめです。

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