2019年8月31日(土)鑑賞『西田翔さん初リサイタル』赤坂ストラドホール
翔くんとの出会いはYouTubeで演奏を見たことがはじまりで、たまたま参加したチェロのイベントで遠くから翔くんがいるのを見つけて、
「あっ!西田翔くんがいるっ!」
と興奮して、ドキドキしながら話しかけたら、翔くんめちゃくちゃ気さくな方で、いろいろと話をしてくれました。
そのあと何度か演奏を拝見する機会があったのですが、なんせ凄い。翔くんが弾き出すと会場が翔くんの世界に染まって、いつの間にか引き込まれるという。
そんな翔くんの初リサイタル。前日からワクワクして眠れないという子供の遠足みたいなベタなことをしてしまいました。
伴奏をつとめるのは小森谷裕子先生。場所は赤坂ストラドホール。
会場が暗くなり、翔くんと小森谷先生の登場。
翔くんはダークカラーのシャツとパンツ。小森谷先生は鮮やかな紫色のドレス。
プログラム前半
・ボッケリーニ / チェロソナタ第6番からアダージョとアレグロ
・カサド / 無伴奏チェロ組曲。
・パガニーニ / モーゼの主題による変奏曲
プログラム後半
・チャイコフスキー / ペッツォ・カプリチオーソ
・ブラームス / チェロソナタ第1番
アンコール
ダビドフ / 泉のほとりで
プログラムを見たときに、序盤からボッケリーニのチェロソナタ6番とカサドの無伴奏チェロ組曲を立て続けに弾くことに驚き。
「プログラム前半は緊張しすぎてヤバかった。手汗で指板がすべった。」と翔くん本人は終了後に言ってましたが、ボッケリーニもカサドもそれを感じさせない仕上がり。緊張しても、ちゃんと表現できる余裕があるのがすごい。
パガニーニのモーゼの主題による変奏曲は、曲はヴァイオリンと管弦楽のためにつくられた曲で、本来はヴァイオリンのG線(最低音)のみで演奏するのですが、今回はフルニエ編曲バージョンでチェロではA線(最高音)のみで演奏するという子供が喜びそうな曲。
弾き始めると、
「A線だけでこんなに表現できるのか!」とまず驚き、ずっとA線を凝視してたら、曲&技術的な面白さにあっという間に曲が終わってました。
縦縞のハンカチが横縞になって、麦茶がウーロン茶に変わって、コシヒカリがササニシキに変わって(例えがマギー司郎のネタばっかりですみません)…。でも実は話術あるし、正統派のマジックもできるのよ、簡単に見えるけど、難しいこといっぱいやってるのよ、と。
「難しいことを難しく見せないのが大事」ってこないだの草津国際音楽アカデミーでタマーシュさんも言ってた。まさにそれ。
客席からも「ブラボー!」の声。
「すごい!うわー!うわー!(翔くんの表現の幅に対して、私の語彙の少なさよ…)」
となったところで前半終了。
休憩の間にお手洗いに行ったのですが、トイレットペーパーがおしゃれなプリント&和のお香のようないい香り&フワフワすぎてビビった。銘柄どこか知りたい。でも知ったところでお高いだろうから買ったところでもったいなくて使えない…。
そして後半スタート。
さっきのマジック熱が冷めやらぬまま、すでに心は翔くんの世界。チャイコフスキーのペッツォ・カプリチオーソは同じ主題が形を変えて何回も登場します。
最初にトランプを引いて、名前書いて破ったのに、マジシャンの袖の中から、オレンジの中から、ちょっと待って…私の握ってる右手の中に違和感が…、と思ったらトランプが出てきた!しかもなぜか破ったのにくっついてるやん!みたいな曲。
なんとまぁチャイコフスキーの引き出しの多さよ。そしてその曲を飽きずに聞かせる翔くんの表現力。
そしてブラームスのチェロソナタ第1番。
私、この曲が大好きなんです。
この曲で完全に翔くんが解き放たれたように見えて、特に第1楽章は圧巻でした。重く苦しい世界にいるけど、小さな光が差して、それが少しずつ大きくなっていて。とにかく、もう凄かった!
中3でこの曲を弾けるなんてどんな人生経験をしたのか。翔くんに問いたい。また小森谷先生との掛け合いが素晴らしい。
また客席から「ブラボー!」の声が。
そしてプログラムが終了。
アンコールはダビドフの泉のほとりで。これも面白い曲で、シャカシャカ早く弾く部分と、ゆったりとした部分と。
前半のパガニーニのモーゼの主題による変奏曲もですが、お客さんが聞いていて楽しい曲でした。
このプログラムを中3で全部やりとげる翔くんすごい。そしてそれを支えるご家族も本当に素晴らしい。
さてそんな翔くん、2年前に始まった東京藝大早期教育プロジェクトの一環として始まった東京藝術大学ジュニアアカデミーの第1期生です。
中学になると学業も忙しくなるし、その中で学校の宿題と、ジュニアアカデミーの課題とで、チェロの練習時間を確保するのは大変だと思います。
わがやなんか小学生なのにすでにパンパンやで。宿題多すぎて、音を上げる寸前。
翔くんのコンサートを見て、元気をいただいたので、わがやも明日から頑張ります。
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