2019年11月24日放送 宮田大さんとエルガーのチェロ協奏曲その2(エンター・ザ・ミュージック)。

昨日からの続きです。

アナウンサー
「本番前に必ずやるルーティーンなどはありますか?」

宮田さん
「ロストロポーヴィチの国際コンクールを受けた時は、練習を何ヶ月前にたくさんしといてそのあとに韓国旅行に行ったんです。」

藤岡さん
「直前にですか?それは何で?」

宮田さん
「色々息抜きもしたかったというのもあるんですけれども、本番の前にあまり練習しないようにしているんで。」

藤岡さん
「面白いね。心の余裕なんだね。コンクール前に旅行に行くって。」

宮田さん
「あんまり言っちゃいけないですね。」

藤岡さん
「普通はできないよね。どんどん追い詰められてどんどんやってくのに。コンクール直前にあえて旅行するってのはやっぱり只者じゃないね。しかも韓国に行くってのが面白い。」

宮田さん
「でもやっぱりそのぐらいじゃないとお客さんに音楽を伝えていくっていうのが押し付けがましくなっちゃうっていうか、リセットした状態でゼロにしたいんです。パレットの中に何も色が乗っていない状態にしたいので。それで舞台に出て行くとお客さんの空気感だったり、本番ならではの刺激が敏感に頭の中に感じてだんだんパレットに色がついていくってのは感じますね。」

藤岡さん
「面白い。一度ゼロにするんだね。」

アナウンサー
「1回ゼロにするってのは素人からすると不思議な感じがしてしまいます。」

藤岡さん
「彼と共演する時は本番にしかないことが起きる。“リハーサルと全然違うじゃん!”ってのが結構。で弾いてるのは同じ音なんだけれども、もっと小さく弾いたりとかもっとゆっくり弾いたりとかもっと速く弾いたりとかそういうのが練習でやってきたのと全然違う。その時生まれた音楽が、それが素晴らしい。」

宮田さん
「一期一会の世界っていうか僕もそっちの方が好きだから。」

アナウンサー
「第3楽章はどういったイメージですか?」

宮田さん
「エルガー自身は60小節しか3楽章は書いてなくて。歌曲のような曲で本当にチェロって人間の声に似ていたりとかするってよく言われたりするのでチェロで歌ってるような曲なんじゃないかなと思います。」

そして第3楽章の演奏が流れます。

宮田さん
「スキューバダイビングをするのがとても好きなんですけれども、ライセンスを持っていて。やっぱり音楽と似ている所があって。音楽っていうのを一期一会というかその時にしか起きない、その時にしか聞けないものがあるんです。」

宮田さん
「スキューバダイビングをしていても海の中の風景とか色合いだったり、この光の差し込み方とかも全部一期一会なんですよね。その時の風の強さとか潮の流れとか天気とかも全然違いますよね。」

宮田さん
「あとはチェロって管楽器じゃないので、呼吸をしなくても弾けてしまうんですけどスキューバダイビングをすると自分の呼吸をとても意識できるんです。 だからいつも息を吸ってからチェロを弾くんですけど、“はっ”て吐いてからチェロを弾き始めたりすると、音が乗ったり。、呼吸のイメージにも繋がるんですよね。」

宮田さん
「第4楽章のイメージはやはり跳躍がとても多い曲なので。やっぱり歌ってるような感じなので。後は雲行きが怪しくなってくるところからレンブラントの光のように一筋の光がパーっとで出来たりとかっていうイメージがとても湧きやすい曲なんじゃないかなと。」

ここで第4楽章の演奏が流れます。

そして今後のコンサートやアルバムの告知。

宮田さん自身のアルバムで『一期一会』というタイトルがありますが、その部分をとても大事にされているのが伝わってきました。

私も昔『フォレストガンプ一期一会』という映画を見て、90分経った頃に「あっ!これ見たことあるわ!」と気づきました。

それも前に見たことと感じたことが違って気づかなかったので一期一会ですね。素敵なインタビューでした。クラシックの番組ってどうしても演奏が主体になりがちですが、こんなにテレビで宮田さんのお話が聞けたのは『徹子の部屋』以来でしょうか。

宮田さん、そろそろ情熱大陸に出てほしい。どんなスケジュールであの多忙なコンサートを演奏しているのか知りたい。

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